ボイド対策 ∼『Snめっき-Agペースト』間のボイド発生現象についての解析∼(当社技術レポート内容から抜粋)

調査目的

SMD 部品の長期信頼性評価におけるSn 系めっき皮膜と導電性接着剤(以下Ag ペースト)の経時劣化についての調査を行い、カーケンダルボイド(以下ボイド)の発生原因の究明・代替案の提案を行う。
 

調査方法

Sn 皮膜上にAg ペーストを塗布し、150 ℃-30min の固化処理を行う。その後、耐熱(175℃)試験・高温高湿(85℃× 85% RH)試験をそれぞれ行い、Ag ペーストを除去後 SEM にて表面状態観察を行う。また各加速試験後の「めっき-Ag ペースト」間の電気特性を測定する。
 

調査結果

■耐熱(175℃)試験
初期Sn 表面に凹凸が発生。耐熱時間の経過と共にピンホールへと成長し、その後ピンホールが重なり合うことでボイドが発生。最終的には純Sn 層は消失し、巨大なボイドへと発展する。
 
Fig1: 耐熱試験後Ag ペースト除去部の表面状態写真
耐熱(175℃)試験1
矢印
耐熱(175℃)試験2
矢印
耐熱(175℃)試験3
矢印
耐熱(175℃)試験4
 
 
 
■高温高湿(85℃× 85% RH)試験
初期Sn 表面に凹凸が発生。Sn 表面を溶解するように反応が進行する。溶解腐食は、Ag ペースト塗布中央部より進行し、最終的に純Sn 層は消失する。深さ方向へは下地めっきにまで達する。
 
Fig2: 高温高湿試験後Agペースト除去部の表面状態写真
 
高温高湿(85℃× 85% RH)試験1
矢印
高温高湿(85℃× 85% RH)試験2
矢印
高温高湿(85℃× 85% RH)試験3
矢印
高温高湿(85℃× 85% RH)試験4
 
 
0h と85℃× 85% RH-500h の成分比較を実施すると、Cl ピークに差が見られた。500h 後では、腐食部分に集中したCl ピークが検出された。ペースト中に含有されるCl により、腐食が加速されると推測する。
 
Fig.3:マッピング分析結果
 
マッピング分析結果1
マッピング分析結果2
 
マッピング分析結果3
マッピング分析結果4
 
 

電気特性

耐熱試験・高温高湿試験後、「めっき-Ag ペースト」間の電気特性を測定。耐熱試験で発生するボイドは、広範囲にわたり発生するため接触抵抗の上昇が著しい(168h 終了後に約50m Ω)。高温高湿試験では、中央部より腐食が進行するため耐熱結果よりは劣化が少ない。(500h 終了後に約25m Ω)
 各環境試験後 Snめっきの接触抵抗測定結果
 
Fig.4:各環境試験後 Snめっきの接触抵抗測定結果
 

代替めっきの提案

本件では、『ボイド』発生までの経時変化が確認できたため、それらを抑制する代替めっ きの提案を行った。
代替めっきにおいては、耐熱及び高温高湿試験後の接触抵抗値も安定しており、良好な結果を得ることができた。
各環境試験後 代替めっきの接触抵抗測定結果
Fig.5:各環境試験後 代替めっきの接触抵抗測定結果